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児童精神科医のたまご。精神科系研修や発達障害児にかかわる知識をメモしていきます。

不安の分類

精神医学における不安について、その分類など

 

まずこの分野ではよく出てくることですが、「恐怖」と「不安」についてです。

どちらも感情の一種ですが、対象の明らかなものを「恐怖」、対象の漠然としたものを「不安」と呼ぶことが多いようです。

 

イメージを湧きやすくするために、DSM-5の不安症群を「恐怖」と「不安」に分けてみます。

「恐怖」

限局性恐怖症

社交恐怖

広場恐怖

「不安」

分離不安症

社交不安

全般性不安症

 

最近では明確な区別はされないことも多いようです。

 

ここからは不安の分類、内容について書いていきます。

 

分類の方法は様々ありますが、ここでは病態水準で分けてみます。

精神医学全般でも共通しますが、病態水準は

神経症・境界・精神病

と3つに分けられます。

同じように不安もこの3種類で考えることができます。

 

神経症水準とは、ある程度了解可能であること、自我違和感と現実検討能力は保たれている状態です。

罰を受けること、コントロールを失うこと、などへの不安で、了解可能な範囲内、ということになります。

具体的には自尊不安(失敗不安)、道徳的不安などが含まれます。

フロイト的に言うと、去勢不安や超自我不安などが該当するようです。

失敗すること、という具体的な対象があるため、恐怖にも近いものかもしれません。

 

次に境界水準です。これは、神経症が了解可能、精神病が了解不可能であるところの、境界に位置している、という意味です。

これは分離不安が該当します。分離不安とは、子どもが養育者がいなくなってしまうのではないか、という不安になることを指します。ここでのつまづきが成人になって境界例の不安として現れることがあります。これを見捨てられ不安とも呼びます。

 

最後に精神病水準です。先ほども書いたように、了解不能の状態です。

ここには消滅不安、破滅不安(崩壊する不安)などが含まれます。

これは自他の境界の喪失により、自己が呑み込まれ、消滅してしまう、といった不安で、了解できないレベルのものとなります。

 

以上、不安を3つの病態で分けて記述してみました。

様々な精神科医が様々な分類を考えているため、不安の名前については一定の決まりはないので、用語の理解を深めるにはそれぞれの論を勉強していくしかないように思います。(頑張ります。)

 

間違っているところなどぜひご指摘をお願いします。