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児童精神科医のたまご。精神科系研修や発達障害児にかかわる知識をメモしていきます。

【精神科初心者必見】抗精神病薬一覧

精神科研修で必修の抗精神病薬
数がたくさんありすぎて混乱するところかと思います。
以下に一覧にまとめました。
一覧の下に詳しい説明を載せています。
 
第1世代
・高力価 ブチロフェノン系
 
・低力価 フェノチアジン系
 
第2世代
・SDA 
ペロスピロン(ルーラン®)
リスペリドン(リスパダール®)
ブロナンセリン(ロナセン®
パリペリドン(インヴェガ®)
 
・MARTA
オランザピン(ジプレキサ®)※Bipolarにも適応
クエチアピン(セロクエル®)
 
・DSS
アリピプラゾール(エビリファイ®)
 
 
以下詳しい説明。
まず、第1世代=定型抗精神病薬と第2世代以降の非定型の違いです。
定型は、ドーパミン遮断薬で、ドーパミンの受容体に結合すると完全に遮断します。
それと比べ、非定型の方はパーシャルアゴニストであり、受容体に結合してもいくらかドーパミンが結合した時と同じ効果を発揮します。(例えばドーパミンが結合した時の30%程度、など)
 
次に第2世代の違いです。
第2世代の初めに出たクロザピンという薬剤はドーパミンのパーシャルアゴニストです。
次のグループであるSDAは、ドーパミンだけでなく、他の神経伝達物質であるセロトニンへの影響もあるものです。
ただ単にセロトニンにも効果がある、ということではありません。
セロトニンドーパミンは実は関係が深く、セロトニンにはドーパミンを抑制する力があるのです。
これを利用してドーパミンをより生体に近い機序で抑制しようというのがSDAの特徴です。
同じように、セロトニン以外にも作用させたものがMARTA。
DSSはそれとは別で、ドーパミンへの効き方が異なっています。Stabilizerというくらいですから、第1世代のように完全に遮断したり、他の第2世代のようにパーシャルで常に決まった程度のドーパミン効果があるというものでもなく、自らが調節する機能を持っているのです。
 
第1世代
高力価 ブチロフェノン系(ハロペリドールセレネース®))
低力価 フェノチアジン系(クロルプロマジンコントミン®)、レボメプロマジンヒルナミン®))
 
定型抗精神病薬。効果はDopamine受容体遮断。
副作用:錐体外路症状、抗PRL血症
 
第2世代への切り替え
ハロペリドール→リスペリドン
クロルプロマジン→オランザピン
 
 
第2世代=非定型
錐体外路症状が出にくいことが特徴。
 
SDA=Serotonin, Dopamine Antagonist
ペロスピロン(ルーラン®)
リスペリドン(リスパダール®)
ブロナンセリン(ロナセン®
パリペリドン(インヴェガ®)
 
セロトニンドーパミンの両方の受容体に作用する。
セロトニンは中脳辺縁系には少ないが、その他の経路に存在し、ドーパミンの放出量を増やし、ドーパミンの受容体が遮断されても副作用(錐体外路症状、高PRL血症)が生じにくい。
が、PRLの方は症状が出ることもある。
 
MARTA=Multi-Acting Receptor Targeted Agent
オランザピン(ジプレキサ®)※Bipolarにも適応
クエチアピン(セロクエル®)
 
セロトニンのほかにもさまざまな受容体に作用があります。
副作用に注意が必要。糖尿病には禁忌です!
そのほか体重増加、耐糖能異常、脂質代謝異常など。
 
DSS=Dopamine System Stabilizer 
アリピプラゾール(エビリファイ®)
Partial agonist。結合しても30%程度はドーパミンの効果を持続させ、自らが調整機能を持っているといわれる。
 
 
 
・第一選択薬
SDAではリスペリドン、MARTAではオランザピン、DSSでアリピプラゾールが第一選択薬となることが多い。
 
 
・小児で使う薬
リスペリドン(リスパダール®)キレがいい。すぐ効く。食欲↑。ハイテンションに効く。始めて3日は眠気あり。
アリピプラゾール(エビリファイ®)気分障害にも効く。落ち込みのある子に。
 
 
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