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児童精神科医のたまご。精神科系研修や発達障害児にかかわる知識をメモしていきます。

自分の診断について

私は自分が自閉症スペクトラム障害を持っていると思っています。
しかし、きちんと医療機関で診断を受けたり療育を受けたりしてはいません。

外来で診断されていくお子さんを見ていて思うのは、一昔前よりもずっと多くの子供たちが診断を受けていること。
それは罹患しているお子さんが増えている、ということもあるでしょうが、診断のハードルも下がっているように感じます。
(自閉症が増えているかどうかについてはよく議論になります。いつか記事を書きたいと思います。)

そこで今回は自己紹介がてら、自分の特性について書いていきたいと思います。
大学生になってから大学の実習でいくつか心理検査を受けていますので、そちらは別で記載しようと思います。

DSM-5診断基準A
社会的コミュニケーションの障害
コミュニケーションへの苦手意識は昔からありました。
(1)相互の対人的情緒的関係の欠落
相手が大人でも子供でも自分から会話を開始することができませんでした。
小学生のころは塾の先生に質問する、ということがどうしてもできず、母親に無理やり講師室に連れて行かれた思い出があります。
(2)対人的相互関係で非言語コミュニケーション行動を用いることの欠落
視線を合わせることが大の苦手でした。今でも無意識に伏し目がちになり、相手の顔や目を見ていないために、顔が覚えられないということが良くあります。
顔の表情を読むのが苦手でした。
(3)人間関係を維持することの欠落
小学校3年生までは友達はいませんでした。友達の作り方が分からない、と思っているうちに2年が過ぎていました。
今でも当時仲良かったグループの子たちが、私以外では集まっていたり、グループで定期的に集まる、といったわかりやすい関係を望んでいます。

DSM-5診断基準B
興味の限局した常同的行動
(1)常同的反復的な体の使用、物の使用
子供のころ、おもちゃを横一列に整列することが良くありました。
エコラリアはありませんでした。
(2)同一性への執着、儀式的行動様式
同じ手順を踏むことにこだわりがあったと両親から聞いたことがありますが、詳しくはわかりません。
今現在としてはほとんどないと思います。
(3)執着する興味
異常と思われるほどのものはありませんでした。
(4)感覚刺激
いわゆる感覚遊びに当てはまると思いますが、耳たぶをさわるのが好きで、これは今でも続いています。
また寝る前には両親の足を自分の足で触りながらでないと寝られませんでした。これは儀式としても捉えられるかもしれません。

これらの症状が聞き出せる限りで3歳以前から存在していたため、早期からあったと言えるでしょう。

これらが日常生活に障害をきたしているか、という点ですが、医療機関にはかからなかったので、あてはまらないのかもしれませんが、
母親が私の特性を見抜くのが上手く、いわゆる療育の代わりが出来ていたようにも思います。
幼稚園は年少さんではとても通園できず、年中からでした。

知的障害との併存についてですが、IQ100以上であり、当てはまりません。

以上、精神科で用いるDSMの最新版DSM-5に自分なりに則って羅列してみました。
現在大きく困ってはいませんので、診断はつきません。
(もしこれらの症状のせいで適応障害を起こしたりすればASDベースの適応障害、などとは言ってもらえるかもしれません)
しかし外来を見ていると、何度も「わかる、わかる・・・」と感じていますので、同じ傾向を持っているとは言えるのではないでしょうか。

私が児童精神科に興味を持ったのはまさにこれらの症状を自分が持っていたからであり、少しでもこの経験を診療に活かしたいと思っています。

今後も自分自身の事や、調べたこと、考えたことなどブログに書いていきたいと思いますので、よろしくお願いします。